債券・固定利付
直接利回りと最終利回り:債券の利回りの読み方
債券には食い違う2つの利回りが示されることがあります。その理由を知れば、割安で買っているのか、プレミアムを払っているのかがわかります。
読了時間 5分
Yield Analyst編集部 · 計算方法について
2026年10月05日公開
債券には、印字されたクーポンレート、証券会社が示す直接利回り、そして細かい字で書かれた最終利回りがあり、この3つが異なることはよくあります。これらは対立する意見ではありません。それぞれが特定のものを測っており、その差を見れば、債券を割安で買っているのか、上乗せして払っているのかがわかります。
3つの数字、3つの問い
クーポンレート:債券が毎年支払う利息を、額面(満期に償還される金額)に対する割合で示したものです。額面$1,000、クーポン5%の債券は年$50を支払い、多くの場合$25ずつ2回に分けて支払われます。債券がいくらで取引されても、クーポンは変わりません。
直接利回り:年間クーポンを今日支払う価格で割ったものです。「今払う価格に対して、この債券はどれだけの収入をもたらすか?」に答えます。
最終利回り:今日の価格で購入し、すべてのクーポンを受け取り、額面で償還されるまで保有した場合の年あたりの総リターンです。「最後まで持ち続けたら、年あたり合計でいくら得られるか?」に答えます。
割引価格で買った債券
額面$1,000、クーポン5%、残存期間10年で、$950で取引されている債券を考えます。直接利回りは$50÷$950で約5.26%です。同じ$50の収入に対して額面より安く払っているので、クーポンより高くなります。
最終利回りはさらに高く、約5.66%です。クーポンに加えて、$950で買った債券に対し満期に$1,000を受け取るので、10年に分けて得られるその$50の利益もリターンの一部になります。直接利回りはこれを無視し、最終利回りはこれを含みます。
プレミアム価格で買った債券
次に、同じ債券が$1,080で取引されているとします。直接利回りは$50÷$1,080で約4.63%となり、クーポンを下回ります。最終利回りはさらに低く約4.02%です。$1,080で買った債券に対し、満期には$1,000しか戻らないからです。その$80の損失が残りの年数に分散され、総リターンを押し下げます。
ここから簡単なルールが導けます。債券が額面を下回って(割引価格で)取引されていれば、最終利回りは直接利回りより高く、直接利回りはクーポンより高くなります。額面を上回って(プレミアム価格で)取引されていれば、この順序は逆になります。ちょうど額面(パー)で取引されていれば、3つはすべて等しくなります。
債券価格が動く理由
債券のクーポンは固定なので、利回りが市場全体に追いつく唯一の方法は価格が変わることです。新しい債券が6%を支払うようになれば、5%しか払わない古い債券に$1,000を払う人はいません。その価格は最終利回りが市場と同じになるまで下がります。私たちの10年債の場合、市場利回りが6%なら価格は約$926です。市場利回りが4%に下がれば、価格は約$1,082に上がります。
だからこそ債券の価格と利回りは常に逆方向に動き、期間の長い債券ほど大きく動きます。同じ1ポイントの利回り上昇でも、残存期間が2年しかない債券の価格は約$981に下がるだけです。市場を下回るクーポンを補う必要のある年数が少ないため、下落はずっと小さくなります。
近似式と正確な答え
最終利回りに簡単な公式はありません。すべてのクーポンと最終償還額の現在価値を今日の価格と等しくする金利のことで、試行錯誤によって求めます。よく使われる近似式は、最終利回り≈(年間クーポン+(額面−価格)÷年数)÷((額面+価格)÷2)です。上の割引債ではこれで約5.64%となり、正確な5.66%にとても近い値です。
近似式は、とくに額面に近い価格の債券なら、手早く比べるには十分です。大きく割り引かれた債券、満期の長い債券、実際に投資判断に使う場合は、正確な数字を使いましょう。
最終利回りの前提
最終利回りどおりのリターンを得られるのは、3つの条件がそろったときだけです。満期まで保有すること、発行体がすべてのクーポンと額面を全額支払うこと、そして各クーポンを同じ利回りで再投資できることです。途中で売れば、そのときの価格がリターンを決めます。発行体がデフォルトすれば、受け取る額はずっと少なくなるかもしれません。金利が下がれば、再投資したクーポンは当初の利回りより少ない収益しか生みません。
非常に高い最終利回りは、発行体が全額を支払うことを市場が疑っているサインであることが多いものです。配当利回りと同じく、異常に気前のよい数字には、お金を出す前にまず疑問を向けるべきです。
インフレも忘れずに
債券の利回りは名目の数字です。インフレ率3%のもとでの最終利回り5.66%は、購買力で見た実質利回りでは年約2.6%にすぎません。換算の方法は名目リターンと実質リターンをご覧ください。
債券利回り計算ツールで、直接利回り、近似と正確な最終利回り、インフレ調整後の実質利回りを計算できます。