不動産
キャップレートとキャッシュ・オン・キャッシュ・リターンを、1つの例で解説
同じ物件なのに、まったく違う2つの数字。なぜ食い違うのかを理解することが、レバレッジを理解する鍵です。
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Yield Analyst編集部 · 計算方法について
2026年09月16日公開・2026年10月05日更新
この2つの指標は、どちらも物件の成績を表すため、しばしば混同されます。しかし、答えている問いは別で、まったく同じ案件でも正反対の方向を示すことがあります。
例
価格$400,000の物件を検討していて、年間の純営業利益(NOI)が$28,000だとします。NOIとは、空室と運営費を差し引いた後の賃料で、ローン返済を差し引く前の金額です。
キャップレートは次のように問います。すべて現金で買ったとしたら、この収入からどれだけのリターンが得られるか。答えは単純に $28,000 ÷ $400,000 = 7% です。実際にどうやって物件の代金を支払う予定かは関係ありません。キャップレートは、常に現金一括で買う買い手を前提としています。
キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンはまったく別の問いに答えます。実際にどう資金を調達しているかを踏まえて、自分の現金に対してどれだけのリターンを得ているか。頭金として25%($100,000)と、諸費用$8,000、合わせて自己資金$108,000を投じたとします。残りの$300,000に対するローンの返済額は、元本と利息で年間$19,000です。実際のキャッシュフローは $28,000 − $19,000 = $9,000。キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンは $9,000 ÷ $108,000 = 8.3% です。
同じ物件、同じ収入でも、キャップレートは7%、キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンは8.3%です。この差は、すべてレバレッジによるものです。
レバレッジが両刃の剣になる理由
上の例では、物件のリターン(キャップレート)がローンの実質的なコストを上回っていたため、借入が有利に働きました。この関係が逆転する、つまり金利がキャップレートより高くなると、レバレッジは不利に働き、キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンはキャップレートを上回るのではなく、下回ります。これは、レバレッジを使う不動産投資で最も大切な直感です。負債は、元の案件がすでに生み出していた結果を、良くも悪くも増幅します。
同じ取引を住宅ローン金利7.5%で計算し直してみましょう。$300,000のローンは30年返済で年約$25,170かかるようになります。キャッシュフローは$28,000−$25,170=$2,830に下がり、キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンは$2,830÷$108,000=2.6%に落ちます。物件は変わらず、キャップレートも7%のままです。変わったのは借りたお金の値段だけです。
損益分岐の目安:キャップレートとローン定数
取引が線のどちら側に入るかを事前に見分ける簡単な方法があります。年間のローン返済額を借入額で割るのです。金融機関はこれをローン定数と呼び、金利と返済スピードの両方が反映されます。
例の最初のケースでは、$19,000÷$300,000でローン定数は約6.3%となり、キャップレート7%を下回ります。借りたお金がコスト以上に稼ぐので、レバレッジがキャッシュ・オン・キャッシュ・リターンを押し上げます。金利7.5%ではローン定数が約8.4%となり、キャップレートを上回るため、借入がリターンを押し下げます。キャップレートがローン定数より高ければ借入はプラスに、低ければマイナスに働きます。
キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンが見落とすもの
キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンが数えるのは、毎年口座に入ってくるお金だけです。毎回のローン返済の一部は元金の返済であり、現金としては見えなくても純資産を積み上げています。物件の価値が上下することもあり、減価償却や利息に関する税制によって手元に残る額も変わります。これらはどちらの指標にも表れません。
だからこそ、キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンが控えめな取引でも長期的には妥当な投資になりえますし、高いからといって安全とは限りません。キャッシュフロー、元金返済、値上がりというリターンの源泉をまとめて見たいなら、単一の比率ではなくトータルリターンの視点が必要です。
キャップレートが見落とすもの
キャップレートにも死角があります。1年分の収入のスナップショットにすぎないため、家賃の上昇、今後の修繕、来月終わる賃貸契約については何も教えてくれません。また、営業純利益の計算方法に完全に左右されます。空室や修繕を除外する売り手なら、どんな物件でもキャップレートを高く見せられます。広告の数字をうのみにせず、営業純利益を自分で計算し直すべき理由はここにあります。
どちらを使うべきですか?
資金調達に関係なく物件や市場を比較するには、キャップレートを使います。条件をそろえて比べるのに、より明快な指標です。特定の案件があなたのローン条件でどう推移するかを判断するには、キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンを使います。年間のキャッシュフローを実際に決めるのはこちらです。真剣な投資家は、同じ案件について両方を並べて確認します。
合理的な順序は、まずキャップレートで物件自体が十分に稼ぐかをふるいにかけ、次に実際に借りられるローンでキャッシュ・オン・キャッシュ・リターンを確認することです。安い、あるいは特殊な資金調達のおかげでしか成り立たない物件は、決断する前にもう一度よく見直す価値があります。
最初の数字の判断については良いキャップレートとは?をお読みください。そのうえでキャップレート計算ツールとキャッシュ・オン・キャッシュ・リターン計算ツールで試すか、不動産投資計算ツールで全体像を一度に確認しましょう。